<鑑賞記録>マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展
7月のとある日。
マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展 へ。
彼は、服飾・染織デザイナーであっただけでなく、画家、版画家、舞台芸術家、写真家、そして、服飾作品を自ら世界に向けて送り出すプロデューサーでもあった。
フォルチュニの肩書はひとつじゃなかった。
様々な才能を合わせもっていた。
影響を受けたものからのひらめきを、そのときの自分が表したい表現で表したのだろう。
ときにワーグナーの歌劇に魅せられ、舞台の照明、衣装、設計まで手掛け、
ときに日本の絹織物に刺激を受け、布の柄のデザインをし、テキスタイルをつくる機械の設計をしたんだとか。
つくりたい!と思ったものを、制限なく創作したんだろうなあ。
彼は、自分をひとつの世界に狭めないで、いろんな分野で表現することを自分に許していたんだと思う。許す、っていう概念があったのか、なかったのか。彼にとって、ありとあらゆる方法で表現するのは当たり前だったようにみえる。自分が取り得るすべての表現方法をつかって、アウトプットすることは。
子ども向けのガイドがわかりやすかった。
すごろくを眺めるだけで、彼の人生の豊かさが伝わってくる。
メディアに出てくる有名人はわかりやすくひとつの肩書だけだったりするけど、本来人はいろんな側面があって、いろんな表現方法を複数持っているよね。
一人の人の中に複数の才能があったり、
一人の人の中に一見無関係にみえるばらばらの興味がある。
人ってその人ひとりだけでも多様性がある。
フォルチュニは、そんな複数の才能のどれもこれもが一流だった人だ。
鑑賞したその日の感想。
デルフォイのドレスの美しさに魅了され、くらくらしながら帰ってきたのを覚えている。そして、日本の伝統文化をもっと知りたい、とも思ったのだった。
イタリアのシルクも、いつか使ってみたい。
好きな柄の布をつくってみたい。
反物がどうやってつくられてるのかを知りたい。
着物文化を勉強したい。
みてたらいろいろやりたいことがいっぱい降ってきた。
庭はいつもと変わらずそこにあって、いつもと変わらず落ち着いていてゆったりしていたよ。