eriie's room

読んだり、観たり、行ったり、参加したり、会をひらいたり、いろいろの記録。

読書記録 2018年10月前半

9月に学術書ばかり読んでいたのですが、その合間に短編小説を読んだら、なんだかとてもよかったのです。その流れで、10月前半は小説が多くなりました。そんな感じで読んだ記録。

 

 

ちなみにここで読んだ短編小説は、村上春樹の「バースデイ・ガール」。

 

1.静子の日常

 単行本 – 2009/7
 井上 荒野 (著)

  

 

75歳の静子の日常が、静子と家族の視点を通して描かれている。円のように、視点が一周する。とても読みやすかった。(ということは、ものすごく文章が上手、ということなんだろう。)

私が75歳になったら、どんな風に世界をみているんだろう?自分が老いたとき、どんな日常を送っているんだろう?静子さんのようにすっとしていられるだろうか?人生に、なにか悔いが残っていたりしないだろうか?その頃には今の悩みはなくなっているだろうか?

読み終わった後は、75歳の自分の視点が加わって、日常生活がちょっと違ってきました。さらっと読める割に、影響が大きいなあ。

 

2.ジャンピング・ベイビー

単行本 – 2003/8
野中 柊 (著)

  

 

小説の形式でしか表せないものが書いてあるなあ、というのが読後最初の感想。人にはそれぞれ生まれてから今までの歴史がある。人と人のコミュニケーションは、その歴史×歴史×瞬間で生まれるなにか。時間は過去から未来へ流れているようで、実は円のようにお互いに影響し合っているのかもしれない。

 

 

3.私とは何か――「個人」から「分人」へ

 新書 – 2012/9/14
 平野 啓一郎 (著)

 

 

 

「分人」という考え方を取り入れてみると、解決できそうな問題がたくさんある。少なくとも私には、たくさん。「コミュニケーションの成功には、それ自体に喜びがある」という文章に、こういう考えの人が書いてくれている本なのかとうれしくなってしまった。私をつくっている要素の半分が周りにいる他者が関係しているならば、誰と一緒にいるか、はやっぱり重要だよね。

 

4.あなたの人生の物語

文庫 – 2003/9/30
テッド・チャン (著)

 

この短編集のタ(イトルでもある「あなたの人生の物語」だけ読了。「メッセージ」という映画の原作です。映画がとてもよかったので、小説も読みたくなって、買いました。(図書館は予約でいっぱいだったので)

映画と小説の両方の感想が混ざっているけど、どちらも「時間」が気になった。時制のない言語を使うペプタポット。時制のない言語で現状を認識すると、現実が変わる、っていうのはなんとなく理解できる。

この映画と本を読んでいる狭間で、自分の過去世のことが思い出されたような気がして、印象に残る作品。