鑑賞の前に~レオナルド×ミケランジェロ展
三菱一号館美術館で開催されている「レオナルド×ミケランジェロ展」。よく知られている画家なので、展覧会を観に行く前に予習しておくことにしました。
ダヴィンチやミケランジェロぐらい有名な場合は、鑑賞者がここまでは知っているだろうという高めの想定のもとキュレーションされていそうなので、予習しておいた方がより楽しめるのでは?と推測しています。
ちなみに、先日鑑賞したアルチンボルド展は「この画家を知らない人が多かろう」っていう想定のキュレーションになっていたようで、展覧会自体が画家の生涯をしっかり説明してくれていて、予習していなくてもとっても楽しめました。(実際、アルチンボルトの予習って、図書館に行っても資料もみつけにくいし、どこから手をつけていいかわからないですしね。)
美術館側でも、より展覧会を楽しめるような予習できるイベントが企画されています。美術館が企画しているものだと、無料だったり、有料でも1000円ぐらいだったりとお手頃。こういう講座って「朝カル・芸大の先生が講師・有料で4~5000円」っていうのしか知らなかったのですが、最近、こういうのがあることを知って活用しはじめました。申込開始が早めなのと、会期の最初の方で行われていることが多いので、行きたい展覧会が始まる前にイベントをチェックしています。
そんなこんなで、先日初めて美術館主催のレクチャーに行ってきました。
この日は嵐のような大雨の日だったのですが、後ろの方の席まで埋まっていました。
ここにもね、いつもこの方達は何をしている人なんだろう??と常々不思議に思っている「平日の昼間に美術館にいる年配の方」がいました。しかもたくさん!
いわゆる、美術ファン、という方達なのかな。
レクチャーも、美術の知識が前もってある人達に話してます、って感じで進んでいきます。展覧会のみどころ、というのは、何をポイントにキュレーションしたか、ということを教えてくれます。今回は、「素描」の比較、「レダと白鳥」という同じテーマでの比較、などなどで自分で絵を描く人におすすめの展覧会なのかなー、と思いました。正直、私はあんまり興味がわかない分野。わかりやすくホームページにも載っていたので、これも読んでから行ってみようと思います。
本展の見どころ
→ レオナルド×ミケランジェロ展|三菱一号館美術館(東京・丸の内)
見どころそのものにはあんまり興味が持てなかったのですが、このイベントに参加したことで、全く別の発見がありました。そもそも展示されている絵は、500年以上前のものなので、本当にその画家が描いたものなのか、証明できないこともあるそうなのです。そういう場合キャプションには、例えば「レオナルド・ダヴィンチ(帰属)」と書かれます。”「~という画家が、絶対に確実というのではないが、現在のところ実作者と見なされている」という意味合い”なのだそう。「展示されているものは全て画家本人の作品だ、本物だ」と思いこんでみていた過去の私よ、さようなら。
先日のアルチンボルト展は「~に帰属」「~にもとづく」といった絵画が多かったのですが、このイベントの後に初めて行った展覧会なので、その点も注目しました。感想は、アルチンボルトという画家を中心にして生まれた表現の有機体なんだなあ、画家本人を中心に波及してうまれた表現活動が、時代を超えて今目の前にあるんだなあ、という感じ。
その作品が画家本人のインスピレーションによるものか、画家からもらったインスピレーションで他人が描いたものなのかは、表現を味わう、という点では、私にとってはあんまり関係なかったです。どちらかといえば、アルチンボルトとの影響力をみた、という点で、時代のダイナミズムが伝わってきて、却って良いようにさえ感じました。その作品がアルチンボルトのものなのか他人が描いたのか、真贋はこの際どちらでもよかった、というのは、とても不思議な感覚でした。
さて、そんなこんなで、鑑賞前の予習はまだまだ続きます。後は、ダヴィンチとミケランジェロの個人の年表をざっとおさらいしてみることに。鑑賞前の予習もこれから深めていけそうで、楽しみだなあ。
イベントにもちらっと登場していた、館長の高橋さんの記事もおすすめ。
レオナルド編