<鑑賞記録>アルチンボルト展
台風一過の7月のある日の午後、アルチンボルト展へ。
この展覧会で、初めてアルチンボルトという名前を知りました。はじめまして、でこんなにもその人の人生を知るって、なんだかすごいことだなあ、なんて思いつつ、その日は誰かとすごく話したい!という気分だったこともあって、自分の人生ヒストリーをこんなにも丁寧にキュレーションしてもらっているアルチンボルトに嫉妬(!)したりしました。
16世紀後半。ハプスブルク家の皇帝につかえたアートディレクター、アルチンボルト。頭がよくって、好奇心旺盛。自分の表現をパッションのままに出すっていうタイプではなくて、自分の引出しにたくさんしまってある個性的な表現をスポンサーから求めに応じてスマートに出している印象。表現の中にいろんな要素が混ざっています。皇帝を讃える要素、当時の自然科学の知識、ユーモアや皮肉…などなど。カリカチュアや静物画のはしりでもあり。当時の最先端だったのかなあ。
四季と四大元素の部屋では、鑑賞にたくさんエネルギーを使いました。近くで見ると精細な静物画、遠くで見ると人物画。目や口が、目と口ではないもので表現されています。アルチンボルトを真似た他の画家の絵もあったけど、それらは中途半端で、目や口はそのまま描いてあったり、バランスが悪かったり。アルチンボルトのすごさがわかります。
個人的には、「大気」と「冬」に惹かれました。
「大気」は、画面全部が鳥!っていう、その迫力。意味なく描かれているわけではない鳥たち。「冬」は近くでみると枯れ果てた木なのに、遠くからみると、成熟した威厳のある人が立ち上がってきてハッとする。マクシミリアン二世の寓意像なんだとか。
2時間かけてじっくりみて疲れたので、近くの上島珈琲へ。テラス席でぼんやりしつつ、振り返り。とりいそぎ、Twitterにあれこれ感想を留めておきます。
500年以上も前のものだから、作者がわからないものも多々。アルチンボルト(?)って書いてあったり。本人かもね、みたいな感じなのかな。あとは、作者名のあとに「帰属」とか、「もとづく」とか。別の美術展のギャラリートークで覚えた知識が役に立ってて、こういう積み重ねが楽しいなあ。
— eriie (@eriielog) 2017年7月5日
そういえば、美術館に来ている人の中には年配の人が多いのが以前から気になっていました。平日の昼間にふらっと観に来れるって、どんな人達なんだろう、って。(いや自分も傍からみたらそうなんだけど)もしかしたら、若いときから展覧会をみていて、みればみるほど知識が積み重ねられていって、自分なりの美術史が形成されていて、それが楽しくて、趣味が続いている人が多いんじゃないかな、と、ふと思いました。
私もこれから積み重ねを楽しもう!と、次の展覧会の予習のため、この本を購入。時系列で並んでいるだけでもなく、単に画家の説明が並んでるだけでもなく、巨匠視点で書かれているところがおもしろそうです。