<鑑賞記録>ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
東京での会期終わりごろに、こちらへ。
今月末から大阪で開催のようです。同じ展示でも会場違ったら、印象が変わりそう。そういう違いも試してみたい。
同時期に東京都美術館でクリムト展も開催されていた。こちらは行きそびれちゃったけど、どうしても行きたくなったら豊田に行けばいいや、と思い見送る。世紀末、クリムト、あたりが熱いみたい。
お借りしているウィーン・ミュージアムの改修時期ということもあってか、展示数がとっても多い。ちょっぴり駆け足でみる。
ちょっと時間が経ってしまっていて、感想はあまり文章にまとまらず。
その日のツイートを張り付けておきます。
ウィーンっていう都市をなんだか身近に感じる展覧会だった。マリアテレジアから始まって、近代的なグラフィックデザインまで。2世紀の旅。 pic.twitter.com/kMO5Z2IjVy
— 大山江利子 (@eriielog) July 26, 2019
デイタイムドレス、っていう今で言うワンピースがかわいかった。胸の下すぐの切り替えでちょうちん袖。
— 大山江利子 (@eriielog) July 26, 2019
詳しく記載はなかったけど、改良服ってのもあって、コルセットなしのウエストがゆったりしたドレスがいくつか。その時代のとんがった表現者たちにしか受け入れられなかったドレス。
チャイナ服みたいな襟や、ノースリーブ。古典的なドレスの袖や首をきれいにみせる襟ぐりの人たちもいるなか、それは新しかったんだろうな、きっと。それらを着てる女性たちの表情はきりっとしたまなざしだった。意志を感じるまっすぐなそれ。
— 大山江利子 (@eriielog) July 26, 2019
これはクリアファイルだから縦長なんだけど、実際のキャンバスはスクエア。分離派かな?スクエア形が流行ってたんだって。ん?インスタ?って思わず突っ込んじゃった。 pic.twitter.com/e1KvKP7n8c
— 大山江利子 (@eriielog) July 27, 2019
ちょうど梅雨のあけたばかりの日に来館。
美しい初夏の空。
国立新美術館は、いつ訪れても建物のたたずまいにぞくぞくする。
帰宅してみると、グッズを買ったときの袋がとても素敵ってことに気がついたので、早速壁に貼る。袋を貼るのはじめてw
こちらは、今回のではなく、20年以上前の展覧会のときに出会っていた記念のポストカード。
今回また会えてうれしかった。パラス・アテナ。闘う女神さま。
<鑑賞記録>マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展
7月のとある日。
マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展 へ。
彼は、服飾・染織デザイナーであっただけでなく、画家、版画家、舞台芸術家、写真家、そして、服飾作品を自ら世界に向けて送り出すプロデューサーでもあった。
フォルチュニの肩書はひとつじゃなかった。
様々な才能を合わせもっていた。
影響を受けたものからのひらめきを、そのときの自分が表したい表現で表したのだろう。
ときにワーグナーの歌劇に魅せられ、舞台の照明、衣装、設計まで手掛け、
ときに日本の絹織物に刺激を受け、布の柄のデザインをし、テキスタイルをつくる機械の設計をしたんだとか。
つくりたい!と思ったものを、制限なく創作したんだろうなあ。
彼は、自分をひとつの世界に狭めないで、いろんな分野で表現することを自分に許していたんだと思う。許す、っていう概念があったのか、なかったのか。彼にとって、ありとあらゆる方法で表現するのは当たり前だったようにみえる。自分が取り得るすべての表現方法をつかって、アウトプットすることは。
子ども向けのガイドがわかりやすかった。
すごろくを眺めるだけで、彼の人生の豊かさが伝わってくる。
メディアに出てくる有名人はわかりやすくひとつの肩書だけだったりするけど、本来人はいろんな側面があって、いろんな表現方法を複数持っているよね。
一人の人の中に複数の才能があったり、
一人の人の中に一見無関係にみえるばらばらの興味がある。
人ってその人ひとりだけでも多様性がある。
フォルチュニは、そんな複数の才能のどれもこれもが一流だった人だ。
鑑賞したその日の感想。
デルフォイのドレスの美しさに魅了され、くらくらしながら帰ってきたのを覚えている。そして、日本の伝統文化をもっと知りたい、とも思ったのだった。
イタリアのシルクも、いつか使ってみたい。
好きな柄の布をつくってみたい。
反物がどうやってつくられてるのかを知りたい。
着物文化を勉強したい。
みてたらいろいろやりたいことがいっぱい降ってきた。
庭はいつもと変わらずそこにあって、いつもと変わらず落ち着いていてゆったりしていたよ。
<読書記録>デンマークってどんな国?を知る7冊。
夏のデンマーク行きにあたって、予習開始。
そもそもデンマークってどんな国なのか?を知りたくて、7冊の本を読んでみた。
ひと通り読み、デンマークは福祉が行き届いていることで知られているが、実際にはどのような制度で支えられているか、デンマークに住んでいる人が、どんな教育を受け、どんな環境で仕事をし、年をとったらどんな生活になるのか、そのための税負担を国民はどう感じているのか、といった内容を知ることができた。
「デンマークって教育のあり方が素晴らしいらしいよ」という聞きかじりの知識だけでデンマーク行きを決めたのだけど、実際には、その教育を受けた子ども達がスムーズに仕事に就ける労働環境があり、その労働環境を支える政治システムがあり、その政治を決めるための民主主義が徹底していて、その民主主義の根幹を教育できちんと教えている、という循環がある、ということがわかってきた。
7冊の本の内容が頭の中でごっちゃになっているので、1冊づごとのレビューは書けないのだけど、どんなことを扱っているかだけ記録しておきます。
◆デンマークの今、が全般的に書かれているのがこの3冊。
・世界一幸福な国デンマークの暮らし方 (PHP新書) 新書 – 2009/8/18
千葉 忠夫 (著)
・消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし 角川SSC新書 (角川SSC新書) 新書 – 2010/11/10
ケンジ・ステファン・スズキ (著)
・デンマーク流「幸せの国」のつくりかた 単行本 – 2012/9/26
銭本 隆行 (著)
◆全般的な内容を、もうちょっと詳しく書かれているのがこちら。
・デンマークが超福祉大国になったこれだけの理由―どこが違うのか!?安心して暮らせる希望社会と無縁死3万人の国 単行本 – 2010/4/1
ケンジ・ステファン スズキ (著)
◆日本の制度との比較の視点、デンマークの歴史
・なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか 単行本 – 2008/2/1
ケンジステファンスズキ (著)
◆エネルギー政策を中心に読むならこちら。
・デンマークという国 自然エネルギー先進国―「風のがっこう」からのレポート 単行本 – 2006/2/1
ケンジステファンスズキ (著)
◆こちらは、教育のトピックがメイン。
・格差と貧困のないデンマーク―世界一幸福な国の人づくり (PHP新書) 単行本 – 2011/2/1
千葉 忠夫 (著)
出発まであと1か月。
現地に入って知りたいことを、もう少しまとめてみます。
予習はつづく。
<鑑賞記録>「フーガ」の苦しみと喜び/大塚直哉レクチャーコンサート
解説を聞きながら、オルガンとチェンバロの聴き比べをするコンサートに行ってきました。
右脳と左脳をいったりきたり。シャッフルされる感覚。
それと同時に五感を使う。思考と感覚が同時進行する。
うまくバランスがとれて、理解が深まるのと同時に感動が訪れる。
その瞬間は最高だ。
「フーガ」は「逃げる」という意味があって、転じて音を追いかける、畳み掛ける、前のテーマが終わってないのに次のテーマの音をかぶせていく、ような形式を指すようになったとか。#バッハ
— eriie (@eriielog) July 7, 2019
大塚さんは、言語化にたけている演奏家だった。音楽をこんなにたくさんの言葉で説明してもらったのは初めてかもしれない。
言葉のない表現を敢えて解説して言葉で切り取ることで、近づきやすくなる。「知ってるとより楽しめます」とおっしゃっていた。本当にそうだなと思う。
大人は1を見て10つながるし、10思い出すから楽しい。積み重ねの楽しさがある。絵も音楽も踊りも芝居も、芸術鑑賞は大人になればなるほど深まる。
解説を聞きながらふと、今もう一度ピアノを習ったら楽しいのかもしれない、と思った。小さい頃は楽譜を追うのに精一杯で、曲全体の一体感なんて感じてなかった。指の動きは遅いけど、今の方がきっと楽しめる。
手前がポジティフオルガン。パイプオルガンの一種。
奥がチェンバロ。思ったより鍵盤の幅が狭い。
彩の国さいたま芸術劇場は、建物としても素敵だった。
古代ローマのよう。
<鑑賞記録>バレエ ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー / メデューサ / フライト・パターン
ライブビューイング、という形式で、バレエを初鑑賞しました。
ライブビューイングというのは、実際に上演された舞台を映画館で観られるというもの。開園前の舞台の様子から映されていて、休憩時間も劇場の様子が映っているので、実際に劇場に足を運んでみているような気分になります。
ライブビューイングで特筆すべきは、解説と出演者へのインタビューがついていること。それがあることで、より楽しめる構成になっています。
タイトルはこちら。
ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー / メデューサ / フライト・パターン
Within the Golden Hour / Medusa / Flight Pattern
1回で三本の作品を上演するトリプルビルでした。
HPより引用。
世界中で引っ張りだこの現代振付家3人による全く違った個性の、刺激的で、クオリティの高いダンスを堪能できるトリプル・ビル!
「ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー」は、「不思議の国のアリス」、「冬物語」、「パリのアメリカ人」と大ヒットを飛ばした現代の名匠、クリストファー・ウィールドンの2008年の作品。
新作「メデューサ」で初めてロイヤル・バレエに作品を創作して話題を呼んでいるシディ・ラルビ・シェルカウイは、日本でも「TeZukA」や「プルートゥ」などを演出し、大の日本の漫画好きとしても知られている。多様なバックグラウンドを持つ異才で、世界中でプロジェクトを同時進行させている。本作はギリシャ神話のメデューサの物語に基づく。
「フライト・パターン」は、カナダ出身の女性振付家クリスタル・パイトによる2017年初演の作品。本作は、戦乱から逃れようと困難な旅を続ける難民たちの姿を描いたパワフルで心に訴えかける作品で、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞するなど高い評価を得た。パイト作品に多く見られる群舞を巧みに使い、36人のダンサーたちが忘れがたい印象を残す。
観た直後の感想を載せておきます。
ウィズ イン ザ ゴールデンアワー
意味がわからないのに、その美しさに涙がわきでてきました。生の喜び!性の喜びも含めて。生きて、死んで、魂の世界に行って、次はどんな物語を生きようかな?とプランを立てる、そんな物語が頭の中で勝手にできあがりました。
なぜかメデューサになったときのほうが美しく感じてしまった…!
赤と黒の衣装に、底からぐぉーっとくる舞。
平野さんがかっこよすぎてやばいです。夢にみそう!
音楽、衣装、舞、の総合芸術。自分の内側が、ぐわんぐわん揺さぶられます。
言葉がない分、ダイレクトに伝わってくる感じ。人間ってなんだろね…
日常も、みんなお芝居を演じてるのかねー、って気がしてきた。
そうせざる得ない、とか、そうあるしかない、とか。
フライト パターン
装飾を一切排した衣装と舞台
それでも浮かび上がるのは、その人の顔 顔 顔
平野啓一郎のDawnという小説を思い出しました。
AIが発達して、顔認証システムで監視する世界。
整形する技術が発達
私はだれか?そんなことを思い出しました。
集団の圧迫感と窮屈さと調和と美しさ、全部ある
振り付けのクリスタルさんが
政治の話をしたいわけではなく、アートの場では会話が生まれる、
って言ってたのがすごく良かったです
私は、tohoシネマズ流山おおたかの森で鑑賞しました。上映はプレミアスクリーンでした!とってもゴージャス。
ふかふかシートで、席と席の間にバッグ置ける場所があります。1人席と2人席あり。
アパレルブランドをつくる その2
アパレルブランドをつくるーー!と大口叩いているeriieです。
前回の記事はこちら。
つくりたいものがみえてきたので、次は実際に作ってくれる人を探しました。
ここで「自分で作る」を選択しなかったのには、二つ理由があります。
まずは、超絶不器用だから!
ミシン持ってるし、子どもが保育園のときは自分で袋やバッグを作ったりもしたんだけど、ただ布を触るのが好きなだけ。商品として提供できるレベルにはあらず。
もう一つは、ディレクション業務に向いているから。
手を動かす能力はないけど、最終イメージだけはあって、その工程もイメージできるけど、どうにもこうにも自分ではなんにもできない、っていうタイプです。
パターンを作る、縫う、売る、などなど、その分野が好きで、かつ、向いている人をみつけてきて、その人達のできる分野を組み合わせて現実化を進めていく、っていうのが得意なのです。(これを自分でわかっていたのが今回よかったこと!強みがわかってると進む道がスムーズですね。別記事にします。)
そして、実際にお願いする人を見つけるまでにやったこと。
そもそも業界のことをなんにも知らないので、ネットで情報を集めつつ、最近のアパレル事情とか、工場の様子とか、職人さんの立場や時代の変遷などなど、見聞き。そうすると、業界は違っても今まで自分が携わってきた仕事内容をベースにして仕事を進めていけそうだな、と当たりがついてきました。
依頼内容がなんとなく整理できたところで、小ロットに対応してくれる縫製工場を探して問い合わせしてみたり、職人さんを探せるサイトで依頼してみたり、Twitterでフリーランスの人を探して依頼してみたり。
依頼メールのやりとりで、さらに自分のやりたいことが明確になり、型紙を起こせるパタンナーさんにサンプルをつくってもらうのがよさそうだ、とわかりました。
誰にお願いするか、というのは、自分がどんな人と仕事がしたいか、という問いと同じです。私の場合、業種や職種は違っても、私のなかの「一緒に仕事をしたいタイプ」というのはあまり変わりませんでした。
最終的にお願いする方を決めて、いよいよデザインを形にする段階に入りました。
はてさて、どうなることやら・・・!
チャレンジはつづく。
<鑑賞記録>新・古事記ミュージカル 天の河伝説
2019年『天の河伝説』オフィシャルサイト よりストーリーを引用
古事記を上演する演劇団は、イケメンの演出家ハヤヒと、心優しい弟の紗月を中心に個性豊かなメンバーで構成されている。
長崎壱岐で病に倒れた女形、紗月の代わりに新しい「姫」役の女優を募ることになった。
選ばれたのは、自信がない三葉、毒舌娼婦の八葉。
ふたりはヒロインの座を競いながら、ハヤヒとの恋愛も絡み、意外な結末へと導かれていく。
実はこの劇団、主演女優を探すというのは名目で、神様たちの集団。
ハヤヒはアマテラスで、紗月はツキヨミ。古い時代に行方不明になった瀬織津姫の魂の生まれ変わりを探して時空を超えて旅している。
この物語は、古事記の名シーンを織り込みながら、ヒロインのふたりが、
夢へのチャレンジと恋を通して「ほんとうの自分」を取り戻していくラブファンタジーです。
帰りの電車の中でメモした一次記録。
天の河伝説から受け取ったもの。
比較と嫉妬から自由になろう
競争意識から自由になろう
私のなかの女神が目を覚ます
誰しもみな女神誰しもみな瀬織津姫
私はわたしを思い出す本当の望みを思い出す
一昨年の冬至の日いきなり思い出した
わたしの夢
稲妻のように天啓が降りた
それが、わたしのやるべきことだ
夢を現実にしながら
私はわたしとつながるわたしのなかの女神が目覚める
このメッセージを「歌と舞のあるミュージカルで生で観れたこと」に意義があった。このメッセージを書き言葉で受け取ると「ふーん。まあ、そうだよね。」ってなりがち。
2時間45分という時間を舞台の人たちとともに過ごし、会場全員で物語を見届ける。役の内側から響いてくる歌声が空間を揺らし、揺らされた空間を舞い踊るダンサーたち。
舞は空間をチューニングし、整える。舞台から発せられる振動が会場を埋め尽くし、その場にいる人々の細胞液を揺らす。
人の身体は80%が水。水は音に反応し、揺れ、人の内側に働きかける。
だから観終わった後は、なんだかわからないけどとにかく揺さぶられたなあ、っていう感想だったんだ。
寝ているときに揺り起こされたような振動と、目覚める直前にまぶたの外に感じる太陽の光。外側から私を呼ぶ歌声。
天の河伝説は体験型ミュージカル、って本当でした。
右から三番目がさちまるちゃん。(元 Happyちゃん)
左から4番目がどんちゃん。舞台下に脚本家のしーちゃん。(旺季志ずかさん)