eriie's room

読んだり、観たり、行ったり、参加したり、会をひらいたり、いろいろの記録。

読書記録「キャッチャー・イン・ザ・ライ」

翻訳ブーム、続いています。

村上春樹訳 キャッチャー・イン・ザ・ライ、読了しました。

 

 

学生の頃、文学好きなら読むでしょとりあえず、って感じで読んだ本の一冊です。

そのときに読んだのはこっち。野崎訳でした。

 

それ以来の再会。

 

前半はホールデンの気分に右往左往されてちょっとつらかったけど、

後半は文体の力にひっばられて、すいすいっと読めました。

 

続けてこちらも読みました。翻訳夜話2 サリンジャー戦記 。

村上春樹柴田元幸、2人の翻訳者の対談です。

 

ホールデンは何の病気だったのか、とか、最後はどこにいたのか、とか、一人称だから全てが本当とも思えない、とか、謎はいろいろあって、本当はどうだったんだろう?っていう謎解きは、楽しみでもある。でも謎解きをしつくすと、本当はどうだったのか、は、実はどうでもいい些末なことになる。その後に、自分がこういうものを受け取ったよ」

 

というプロセスを見せてくれている本でした。

 

この本の最後に収録されている柴田元幸さん作『Call me Holden』が、

ものすごくよかったのです。

ホールデンのその後、みたいな話。

サリンジャーが書いたのかと錯覚しました。

 

私が思う「よい作品」は、

想像力がぐんぐん膨らむ豊かな世界が描かれていて、

底辺には「よい物語」が流れているもの。

よい、というのは、善だったり、美だったり、真だったり、いろいろです。

どう読むかは読者次第。

 

私がこの作品から読み取ったのは、

『人生は前に進む時間軸では語りきれない』ということ。

一般的には『少年期の喪失の切なさ』の物語として読まれているみたいです。

 

「本を読む」というのは、

自分がどんな物語を読み取るか、ということでもあるのですね。

 

 

読書記録「グレート・ギャツビー」

村上春樹グレートギャツビー 

読み始めたら日の夕方から翌日の午前中まで、約一日で読めました。

 

 

10代で読んだときは、訳のせいだけじゃなく、

人生経験も足りず、読書量も足りずで、

あんまり意味がわからなくて、

なんでこれが素晴らしい作品と言われているかがわかりませんでした。

 

そして、今。

40代になり、経験も積み、読書量も増え、

村上訳が読みやすかったのもあり、作品の意味は理解できました。

 

でも、やっぱり素晴らしい作品!・・・とはあんまり思わなかったかな。

 

内田樹先生曰く、この作品は、

少年が「大人に脱皮することの苦しみ」を癒し、支援するために、

人類が太古から繰り返し語ってきた「少年期(アドレッセンス)の喪失の物語」で、

グレートギャツビー、ロンググッドバイ、羊をめぐる冒険

と脈々と受け継がれている文学的鉱脈、だそうです。

 

共感できないのは女性だから、としてしまうのは、

あまりにも短絡的に感じるから、考察にはもう少し時間をかけようと思います。

 

ただ、内容にはあんまり共感していないにも関わらず、

一日ですらっと読める文章に訳されているのが驚きでした。

読んでるときに、「つっかえない」。


外国語訳の、訳に正確なあまり日本語としては読みにくく、

読んでる途中で、ガタッガタッとする感じがない。

 

みみずくは黄昏に飛びたつ」に、そのあたりの詳しいところが書いてありました。

村上春樹が文章を書く際に大事にしているのは「リズム」だそうで、

それは翻訳にも当てはまるみたいです。

 

というわけで、「翻訳する」ということにがぜん興味がわいてきたのでした。

 

 

 

「2人でおこなう読書会」をやってみます。

こんなの聞いたことないけども、

一対一での読書会を思いついちゃったので、募集してみます。

 

 

読書というのは極めて個人的なことなので、

知らない人に感想を話すのはちょっと躊躇がある、とか、

大勢にわかってもらえるような感想ではない気がする、とか、

そういうことってありますよね。

だから、この本の話をしたいけど、読書会に参加するのはハードルが高い、

ってこともあるのかなあ、と思うのです。

 

そんな人がいたらいたらいたら!なのですが、

(ひそかにいると思っているのですが)

私でよければ、2人で読書会をしませんか?

 

リストにある本の中で、話したい本のリクエストをください。

 

あなたとわたしにとって、ちょうどいい場所にあるカフェで、

2時間ばっかし、その本についてぐぐっと深く潜りましょう。

 

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この活動を今後も続けていきたいので、料金を3,000円頂戴しています。

飲食代は別となります。

また、男性の方は、既に存じ上げている方か、ご紹介の方に限定しております。

女性の方については、特に条件はありません。

 

日程は、月、水、木の午後か、土曜日を予定しています。

リクエスト、お待ちしています^^

下記よりお申込ください。

申込フォーム → 2人でおこなう読書会

 

<読書会リスト>

※メインの作家は、吉本ばなな村上春樹江國香織、です。水曜日の読書会の課題図書もOK。その他の本も随時リストに追加します。これはどうですか?というリクエストも受け付けます。

 

吉本ばななよしもとばなな

 

・キッチン・うたかた/サンクチュアリ・哀しい予感・TUGUMI

・白河夜船・とかげ・NP・アムリタ・マリカの永い夜・SLY

ハチ公の最後の恋人・ハネムー

・ハードボイルド/ハードラック

・不倫と南米・体は全部知っている・ひな菊の人生・虹

・王国(その1~その3)・アナザーワールド(王国その4)

・みずうみ・イルカ・ひとかげ・ちえちゃんと私

・まぼろしハワイ・サウスポイント

・彼女について・もしもし下北沢・どんぐり姉妹

・ジュージュー・スイートヒアアフター・彼女について

さきちゃんたちの夜・スナックちどり・花のベッドでひるねして

・鳥たち・サーカスナイト

 

  

村上春樹

騎士団長殺し・色彩をもたない多崎つくると巡礼の旅

羊をめぐる冒険・ダンスダンスダンス・女のいない男たち

回転木馬のデッドヒート・海辺のカフカスプートニクの恋人

1Q84・国境の南 太陽の西・アフターダーク・ねむり

パン屋襲撃

 

江國香織

きらきらひかる・ホリーガーデン・落下する夕方

流しのしたの骨・神様のボート・冷静と情熱のあいだ Rosso

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木・ウエハースの椅子・ホテルカクタス

東京タワー・スイートリトルライズ・思いわずらうことなく愉しく生きよ

間宮兄弟・がらくた・真昼なのに昏い部屋

抱擁、あるいはライスには塩を・金米糖の降るところ

ちょうちんそで・はだかんぼうたち

泳ぐのに、安全でも適切でもありません・いつか記憶からこぼれおちるとしても

号泣する準備はできていた・赤い長靴・ぬるい眠り・犬とハモニカ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読書会を開催しました*2017Apr『イルカ』

水曜日の読書会 4月度を開催しました。

今回の課題図書は『イルカよしもとばなな

 

お天気の良い日だったので、テラス席にて開催。
お花見の季節が過ぎ、あっという間に新緑の季節。
先月はあんなに寒かったのに…。

 

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新たな試みとして、ワークを行いました。
1時間半ぐらい話した後に、今心に残っていることを書き留める、というもの。
名刺サイズのカードに、好きな色のペンで、好きな言葉や小説の一節を書きました。

 

ちなみに、普段の読書会では、最後にまとめることはしないし、最後の感想も、もらいません。2時間集中して、それぞれが話し、聞いたことがすべて。
この2時間の中で、それぞれの内面に起こったこと、その場で起こったこと、があり、
会が終わった後、消えるものがあり、残るものがあり、変容するものがある。

 

読書会で話したことを、どんな記憶に留めておくかは各自の自由で、
忘れてしまってもいいわけなのだけど、
たまには思い出を留めるツールがあってもいいかな、と思ったのでした。


カードは、人に見せるためのものではなくて自分用のおみやげで、
発表は強制ではなかったのですが、みんな発表してくれました。
ありがとう!

 

最後は、カードを封筒に入れて、シールを貼り、パッケージ。
 

 

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聴きカフェ、はじめました。

ブライトリスニングという聴き方があるのをご存じですか?

私は、この聴き方を「聴きカフェ」にて実践しています。

 

ameblo.jp

 

ブライトリスニングでは、聴き手の意見を挟まず、話し手の心の声を聴きます。
なにかに悩んでいるとき、問題にぶつかったとき、自分の中に答えはあります。
私は、その答えを探すサポートをしています。

 

私自身、ブライトリスニングで聴いてもらい、
たくさん話して、話しまくって人生がどんどんすすみました。

 

「話せば進む」が合言葉です。

ブライトリスニングで聴いてもらうと、心の声が聞こえてきます。

 


私の話をします。

私自身の心の声、自分が元々持っている人生のニーズは「尊重」でした。
自分も尊重されたいし、相手も尊重したい。
ブライトリスニングで聴いてもらって、気づいたニーズです。

 

このことに気づいたときに早速やってみたことは、旅行でもなんでもなく友達の家にただ泊まる、っていうこと。

主婦になってから、「旅行」のように大義名分のない外泊は、なんとなく自分に禁止していました。自分の時間を自分の使いたいように使う、ということをしていませんでした。


そんなある日、友人に泊まりにおいでー、と誘われて、普段なら躊躇するところ、行く行くー!と気軽に返す自分がいました。家族も行ってらっしゃーい、と見送ってくれました。ただただ、楽しかったです。ただ友達の家に遊びに行くだけ、なんですけどね。


私の時間は私のものだったはずなのに、

いつのまにか、明け渡してしまっていたなあ、と思い、 

自分の時間とやりたいことを尊重する人生に戻ろう。

そう決めました。


今チャレンジしていることは、 家族とシェアハウスの住人同士のように暮らすこと。
要は、家事全般の見直し。家族だからって甘えないで、一人一人自立しよう、ってことです。

 

私は主婦としての役割のためだけにいるわけじゃない。
家族のサポートのためだけにいるわけじゃない。
私個人の時間もを尊重したい。
そして、家族の時間や意志や行動も尊重したい。

夫は、ごはんを自ら一品作るようになったり、ゴミ出ししたらありがとうといってくれるようになったり、と、今まで当たり前だったことが、そうではないと認識が変わりました。子どもは、朝ごはんを自分で作って食べたり、自立に向けて練習中。

 

リクエストすれば、それに答えてもらえます。
それがとても嬉しい。
そして、リクエストにはこつがあります。
手段だけを伝えると、まっすぐに伝わらないのです。



もやもやしてること、気になってること、うれしかったこと、
何を話してもニーズの根っこはつながっています。

「あなたが今話したいこと」に、心の声が、人生のニーズが、あります。



聴きカフェ、というのは、ブライトリスニングという聴き方で聴く場であり、サービスの名称です。

ブライトリスニングを学んだ人達が、この「聴きカフェ」を開催し、各地で聴いています。

私も、そのひとりです。

 

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【聴きカフェ ~街で 気軽に エンパワメントされる場所を~】
ちょっとした話、重い話、しめっぽい話、ぶっちゃけ話、愚痴、自慢なんでもOK
話して、放せば、軽くなる~
★定義★
聴きカフェとは
1、カフェで聴く!
2、20分で聴く!
3、ワンコインで聴く!
4、聴き手の意見を挟まずに聴く!!
という、サービスであり、場です。
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お問い合わせは、こちらまで。

miraischool.pr@gmail.com

 

 

読書会を開催しました*水曜日の読書会2017.Mar『とはずがたり』

 

3月の水曜日の読書会、「とはずがたり」で開催しました。

 

古典を読むなんて、本当に久々で、「ひしめく」「あさまし」「あはれ」「むつかし」とか、高校生で古典を習ったときには特になんとも思わなかった古文単語が、今も現代に残って伝わっていることの深遠さにくらくらします。

 

初めに、相対立する二つの感情がある、との感想からスタート。 

 

・あこがれとうらやましさ
・あほらしさと怒り
・同情と共感

 

そして、作者の胸中は身近に感じながらも、当時の女性がどんな暮らしをし、どんな時代認識があり、なにが常識とされる中で、これを書いたんだろう?と、皆で思いをはせました。

  

一夫多妻制の世の中なんて、とも思うけれど、それは、生まれてくる赤ちゃんの死亡率も高く、出産した女性の5人に1人は無くなっていたりする背景があることや、重婚もままあったりしたこと。

 

そもそも現代の結婚は恋愛をベースにしたロマンティシズムありきだけれど、実は人間の実態はそうでもなくて、もっとプリミティブなんじゃないかとか、

 

いつもいつも座って庭をながめている毎日で、部屋の中では膝で歩き、視線はいつも子供の目線ぐらいの高さで、外出で正式な衣装で外出するときには重たすぎて人の手を借りねばならず、自分の身体がいったいどこまでが自分なんだろう?って感じだったんじゃないかとか、

 

お姫様って、友達いなかったんだね、宮仕えしてる女房達の方が楽しそうだし、実は出家しちゃった方が楽だったんだ、とか。

 


ミステリハンターな気分で、あれやこれや妄想しました。

 

 

現代とは違う環境や習慣や思考を想像しつつ、二条さんの愛すべき人となりを味わう、そんな会だったのかな。

 

参加者さんの後日のツイートより。

 

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読書記録『14歳の子を持つ親たちへ』

土曜日の午前中。
家のなかをひととおり整えた後、この本を読了。

 

先日の読書会でとりあげた「街場の文体論」に引き続き、内田先生関連の本。
そのときの参加者さんがおすすめしてくれた本の内の一冊です。

本来のコミュニケーション、語彙の獲得、前思春期、身体性、ルーティンの大切さ、などなど、興味深いワードがいっぱいの本でした。

 

ここ最近、物事を、まるごと聞く、まるごと読む、っていうことを意識的にしているので、感想ではなく、気になった部分を抜き書き。

同じところ興味持ったーという方いたら、今度あったら声かけてくださいませ。

 

P53

名越:(前略)・・ コミュニケーションとは、自我をはっきり持ってそれで自分の意見をはっきりと発信できることだってことになっているんですよ。

内田:むしろ逆ですよね。何を言っているのかはっきりわからないことを受信する能力のことでしょう、コミュニケーション能力って。聞いたことのない語を受信することによって「あっ、こういう言葉が存在するのか」という風に驚くことを通じて語彙だって獲得されるものなんですから。

 

P83

名越:昔の方がもうちょっと、「情緒をうまく使いこなせるひ人が知識人である」という概念が、日本に共通理解としてあったんじゃないか、そういう意味で言ってるんですけど。

内田:僕も一番感じているのはそこです。何で知識人という人たちはこんなに情緒の豊かさってことに関して無関心なんだろうと。どう考えてみても、知性というのは情緒の豊かさだろうと僕は思っていたんですよ。物事に対してびっくりしたり、感動したり、不思議に思ったりという能力ね。

 

P88

名越:(前略)・・だからね、オバサンっていうのは実は・・・。

内田:子供なんだ。

名越:うん。実は前思春期で・・・思春期にもいってない前思春期で、止まってしまった大人。

 

P108

名越:僕なんかももちろん色々悩んだり苦しかったりってことがあるんですが、最後にそれを受け止めてくれるのは身体なんだっていうことが、実感としてあるんですよね。論理的じゃないんですけど、脳は結局のところ、時間というものを受け取れないんじゃないかっていう気がしていて。

内田:そうなんです。脳って基本的には無時間モデルなんですよ。

 

P109

内田:これ、よく逆に受け取られているけれども、最終的に人間の攻撃性をドライブしているのは身体じゃなくて脳なんですよ。身体っていうのは、どこかで抑制してるものです。狼同士闘っている時でも、片方の狼が「負けました」って喉をさらしちゃうと、いくら噛もうとしても喉を噛めないっていう、コンラート・ローレンツの説がありますけども、人間の場合も最終的に攻撃性を抑制するのは身体なんだと思うんです。勘違いしている人多いけど、身体が攻撃性の培地であって、理性がそれを統御しているというのは嘘なんです。

 

P189

名越:この頃ほんとに思うのは、母性って最初からあるもんじゃなくて、やっぱりトレーニングして身につけていくしかない、ってことです。

 

P194

名越:日常生活の所作というものは身体に通じてるから、そういうもので人間関係が上手くいったりするんですよね。何か抽象的なことを言うよりも、きっちりカギを閉めるとかね。そういう反芻だけで常々、身体的に学んでいくってすごきあるんですね。

内田:親子関係は期間限定の、テンポラリーな関係で、終わりは必ず来る。つまり子供に対して親が影響を与えたりとか、ある程度言葉が届く時間って限られているんです。だから、その時間に届く範囲のことを考えて、その中でできるだけ具体的な提言をするということに尽きると思うんです。